快適に過ごしてもらうための照明の使い分

 

はじめに

武内デザインオフィスが考える大切なポイントの一つに、患者様が落ち着ける空間をデザインするということがあります。

医療現場において、人間の健康を支える治療行為を効率よく行える機能性はもとより、患者様の不安で落ち着かない気持ちを少しでも和らげるために視覚からリラックスしていただく必要があります。

今回、院内で使用する照明の考え方と、目的に応じた照明の当て方をお話します。

病院照明の考え方

まず、照明というものはただ明るくするだけが目的ではないということは皆さん日々の生活の中で実感していることと思います。

通常の住宅であれば、新築の場合、照明器具選びは家の設計段階から始まります。 家族みんなで過ごすリビングは、テレビの画面や読書の際の文字がはっきり見やすい明るい光色、一日の終わりを過ごす寝室は眠りの妨げにならないように光源が直接目に入らないように工夫をする等、目的や用途によってさまざまです。

病院照明の考え方の一つに、「患者の快適性を高めることにより、人のもつ治癒力を呼び起こそう」といったものがあります。患者様の体と心を健やかにし、社会に復帰するための癒しの場を提供することが重要となります。

病院の特徴を抑えた照明選び

病院といっても様々なクリニックがあります。

内科、整形外科、眼科、歯科、そのほかに小児専門で治療をしている医院もあります。

それぞれ病院としては同じカテゴリーですが、患者様の目的も違えば、照明もまた違ってきます。

照明は視覚に直接働きかけるため、眼科などではやわらかい雰囲気で疲労感が少ないものが選ばれますが、反対に小児歯科などお子様の患者を対象としたクリニックでは、恐怖心よりも楽しい気持ちが勝るよう内装から照明に至るまで明るい雰囲気を希望される先生や親御さんが多いです。

院内ではさまざまな患者さまがおり、その目的も違うためそれぞれに適した照明があるので最適なものを提供していく必要があります。

用途による使い分け

病院には用途によって空間が使い分けられ、それぞれに適した照明があります。

病室など患者様の生活を中心に考えられた「病棟部門」、外来待合室など病院外からの人が多く出入りする「外来部門」、手術室や処置室など、医療従事者側の作業的要素を考慮した「診療・検査部門」に大別されます。

それぞれに適した照明はどんなものがあるでしょうか。

「病棟部門」

「病棟部門」には病室や廊下などがあり、病室に関しては患者様にできるだけストレスを与えることがなく、特別な場所だと実感させないよう日常の家庭環境に近い環境づくりが基本となります。

皆さんの一番落ち着ける場所はどこでしょう?多くの方は自分の家が一番と考えられるかと思いますが、不安な気持ちの中、慣れない場所でさまざまな方と寝食を共にするというのは考える以上に負担が大きいものです。

そこで、病室などでは落ち着き、安らぎを得られやすいソフトな間接光による環境が効果的となります。

また、廊下はすべての空間と空間をつなぐ導線の役割を果たし、例えばストレッチャーで運ばれてくる患者様がまぶしくないように光量を絞った場所、医療スタッフの作業照明の確保、夜間には全体の照度を落としつつ、安全な明かりを確保が必要となるなど多岐にわたります。

「外来部門」

病院の玄関となるエントランスや患者様の待合所などは、患者様や見舞客など迎える際、温かい雰囲気で迎えられ、お知り合いの方同士がお互いの顔に影が出て暗い雰囲気にならないように照明を置く位置も計算します。

また、待合室を兼ねた廊下は、呼び出しを待つ患者様が読書などができるよう明るさを調節し、居心地の良い空間を作り上げます。

「診療・検査部門」

病院内でも特に清潔な環境でなければならず、手術室や処置室などはほこりが付着しにくい制電性や、耐薬品性に優れた照明を設置します。

また、実際に手術を行う際医療スタッフの手元の明るさを確保する必要がありますが、この時に手元とその周辺に明暗差があると目が疲れやすく、ミスにもつながる恐れがあるため全体的に明るく、手元とのバランスを考え精神的ストレスを緩和し、作業効率を高めるが大事になります。

検査室も同様に、清潔に保つ照明選びはもちろん作業、見え方に重点を置いた照明を設置するため担当の医療従事者との打ち合わせにより決定します。

その他

その他の施設としては、スタッフステーションや事務所、管理室などがあります。

これらの施設では主に事務作業が中心になりますが、ここで求められるのはスタッフの作業効率を妨げない、明るく快適な照明環境になります。

また、コンピューターを使用した作業の場合、画面への映り込み防止に配慮したり、作業そのものが眼に負担をかけてしまうため、画面とその周辺の明暗差を極力なくしストレスを抱えることなく適切な場所に照明を配置する必要があり、書類記入などの際の手元の明るさの確保も大事になります。

まとめ

病院の施設は目的や用途によってさまざまな照明が使用されます。

なぜならば、病院内はたくさんの人がさまざまな目的でその空間におり、医療従事者によっては担当する業務ごとに最適な明かりは異なり、患者様の生活環境に合わせた明かりも場所によっては異なります。

しかし、一番大事なことは、どこで何をしていてもその人自身が最も快適で、過ごしやすくあるということです。

照明は医療建築の中の一部ですが、すべてが噛み合った時にこそ、その大事なことが叶えられるため、一つ一つの仕事を最高の技術で表現していきたいと思います。

武内デザインオフィスでは、医療現場に関わる全ての方に満足していただける環境を提供し、また、不安を抱える患者様の精神的なストレスを少しでも和らげる空間づくりをこだわりを持って常に追求しております。

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