2017年 3月 の投稿一覧

患者様やスタッフの視点から考えるクリニックのデザイン

 

何を意識した医療設計を行うか

医療設計をする際に意識することは人によって様々だと思われます。

しかし、”人が集まるクリニック”において共通して言えるのは、やはり「患者様が快適に過ごせる空間を提供できているか」、そして「そこに勤務するドクターやスタッフが気持ちよく働ける環境であるか」ということです。

そのため医療設計を行う際は、以上の点を考慮した上で予算やデザインを決定していくと良いでしょう。

では、患者様にとって必要な空間、スタッフが理想としている環境とは具体的にどのようなものなのでしょうか。

今回はそれぞれの目線から求めているものについての解説を行っていきます。

 

患者様が求めるもの

まずはクリニックに来院される患者様が求めているものについて説明していきます。

患者様が必要としているのは主に以下の3つです。

 

快適に過ごせる空間

そもそも患者様がクリニックに来院する理由は「体の不調を治してもらうため」です。

自分の体に関することですから、当然不安な気持ちを抱いているでしょう。

そのため、医療設計を行う際に提供すべきなのは、そんな患者様の不安感を減らすことのできる快適な空間であると言えます。

これまでは”クリニック=暗い”というイメージがありましたが、最近ではぱっと見ただけでは医療機関であると分からないようなオシャレなデザインのクリニックが増えてきていますよね。

 

ここで今までの施工例をいくつか紹介させていただきます。

 

(明海こどもクリニック)

 

(フローイーストクリニック増床(小児科))

 

【Before】

【After】

(グリーン調剤薬局)

 

以上の施工例を例に挙げて説明させていただきますと、「緑」という自然を彷彿とさせるカラーは、気持ちを落ち着かせる効果があります。

また、小さいお子さんにとってクリニックというのはとても怖いイメージがあるものです。

しかし、壁紙を無機質なものから「海」という壮大さをテーマにしたものに変えるだけでも、お子さんが抱く恐怖感を軽減することができるでしょう。

そして「青」にも緑と同様に気持ちを落ち着かせるという心理効果があるのです。

 

グリーン調剤薬局では、クロスや照明、床材の交換を行いました。

リフォーム前は、白い色調が強く冷たいイメージが強い空間でしたが、暖色系で丸みのあるボールランプを取り入れることで暖かみのある空間へと変わりました。

 

患者様にとっての快適な環境造りにおいて大切なのは、スタッフの対応などもそうですが、クリニックの見た目でもあると考えております。

なぜならば、人は見た目で様々なことを判断するからです。

クリニックで言えば、初めて来院される患者様は特に、外観で病院の信頼性や清潔感、技術などをはかります。

また、ドクターやスタッフと患者様の信頼関係を築くためにも、このようなリラックスのできる空間造りは大切です。

安全性

先程も述べた通り、患者様は体の不調を治すためにクリニックに来院されます。

当然、「安全性」は重視されるポイントの1つであると言えるでしょう。

クリニックにおける安全性とは、動きやすい間取りやバリアフリー(段差の解消や手すりの設置)など多岐に渡ります。

このような細かな配慮の積み重ねが、患者様にとって過ごしやすい環境の提供となり、ドクターと患者様との信頼関係にもつながると言えます。

 

(Sデイサービス)

 

プライバシーの保護

プライバシーの保護も意識しておきたい点の1つです。

他の人に病状を知られたくない、また通院していることも隠したいという患者様も当然のことながらいらっしゃいます。

最近は、クリニックだけでなく調剤薬局でも、お名前で呼び出されることに抵抗のある患者様のために、番号で呼ぶというシステムを取り入れているところが少なくありません。

以下のように、パーティションを導入することで、患者様のプライバシーを確保することが可能です。

 

【Before】

【After】

(Iデンタルクリニック)

 

【Before】

【After】

(あらかわ歯科医院)

 

患者様が安心して通院することのできるように、プライバシーの保護も重要な要素となります。

 

スタッフが求めるもの

医療設計を行う際には、2つの視点に立つものであると言えます。

1つは医療を受ける側である「患者様」の視点、もう1つが医療を提供する側にあたる「ドクター」や「スタッフ」の視点です。

患者様は受付や診察室、お手洗いなど使用する範囲が限られていますが、スタッフの活動領域はそれだけにとどまりません。

それでは次に、クリニックで勤務するスタッフが必要とするものについて説明させていただきます。

ストレスのない職場環境

立ち仕事であり1日で数多くの患者様と接するため、ストレスはどうしても避けることはできません。

ただし、患者様に「また来たい」と思っていただけるためにも、”居心地の良さ”というのは大切です。

一重に”居心地の良さ”と言っても、デザインや環境だけでなく、スタッフの対応もそれに含まれると言えます。

そのため、スタッフ本人はもちろんのこと、患者様のためにも、働く人にとってストレスのない職場環境というものは重要であるのです。

スタッフが1日の大半を過ごす空間であるからこそ、快適なものでありたいですよね。

 

【After】

【Before】

(あらかわ歯科医院)

効率的な動線

ドクターやスタッフ、患者様にとって動きやすい間取りであることも医療設計を行うにあたって重要視しておきたいポイントです。

タイムロスを防ぐためにも効率的な動線を考えた設計は必要であると言えるでしょう。

 

(アイクリニック神楽坂)

オープンカウンターと待合室全体を見渡すことのできる受付。

クリニックを利用する全ての人が快適に過ごせる空間を提供します

いかがでしたでしょうか。

医療設計を行うにあたって、患者様やスタッフの目線から何を意識すべきかについて説明させていただきました。

なお、武内デザインクリニックでは以下の4つについて重視しております。

 

  1. 入りやすいクリニックを設計する事
  2.  患者様が落ち着ける空間をデザインする事
  3. 「素敵なクリニックだった」と記憶に残るクリニックを造る事
  4.  ドクター、スタッフが気持ち良く働けるクリニックを造る事

 

ご自身の持つテーマに加え、ご予算を考慮した上でより良いクリニックの設計を致します。

リフォームをご検討中の方はぜひ1度武内デザインオフィスまでご相談ください。

【クリニックのタイプ別】デザインのテーマ

皆さんは一度は病院に足を運んだことがあるかと思います。

大きな総合病院がかかりつけの病院の場合は他の院と比較は難しいでしょうが、歯科クリニック・眼科・内科や、美容外科や心療内科などのクリニックに通われている方は、それぞれの院のデザインの違いにお気づきかもしれませんね。

それぞれの院は目的が違えば、来院する方の年齢・性別はバラバラです。

そもそも病院のデザインは何を意識しなければならないのでしょうか?

ただでさえ心身共に弱っている中で、視覚的、機能的に負担をかけてしまっては何の意味もありません。

今回はそれぞれの診療科別に、クリニックのデザインについて患者さんにとってどんなものが最適なのかということをテーマにお話します。

 

小児科のデザイン

院によってデザインは様々ですが、その中でも小児内科や小児歯科などのクリニックのデザインはかなり特殊なものといえるでしょう。

今でこそ様々なデザインがありますが、ひと昔前はシンプルな内装にちょっとしたおもちゃや絵本があるだけといったクリニックが珍しくありませんでした。

基本的に患者さんは身体のどこかに問題を抱えていて、心身共に弱っている状況です。

そんな中、治療という行為は負担が大きい内容も含まれます。

内科であれば注射であったり、歯科クリニックの場合はあの独特の薬品のにおいやキーンとした音、削る際の痛みなど、お子さんであればそのストレスは計り知れないことでしょう。

では、現在はどのようなクリニックが多いでしょうか?

まず、内装はお子さんが普段見慣れているようなものが好ましいです。

例えばカラフルでポップなデザインであったり、絵本に出てくるようなパステル調なデザインで特別な場所なんだという警戒を解く必要があります。

そして、中にはお子様が元気に遊べるスペースやおもちゃを設置し、病院は遊ぶところなんだという認識になってもらいます。

そうすることにより、お子さんの受けるストレスを極力小さくし、診療をスムーズに行うことができます。

スムーズに行うことができれば、その分より多くの患者さんを受け入れることができ、結果的にクリニックの経営も安定することでしょう。

小児内科や、小児歯科、小児科を併設しているクリニックは特にデザインが重要になってきます。

 

心療内科のデザイン

心療内科はとてもデリケートな患者さんが多く、解放的なデザインが好まれない場合もあれば、閉塞的なスペースがタブーになったりと、デザイン面では特に慎重に決めなければなりません。

クリニックの特色から患者さんの傾向をより詳しくヒアリングし、その患者さんのために最も最適な空間を演出する必要があります。

これまでの心療内科はどこか暗く、重い雰囲気が漂うというイメージがありました。

しかし現在では、温かみがあり、優しい雰囲気の中心安らげる空間がすでに一般的になっています。

このように、変わりゆく時代の背景や患者さんのニーズ、それに対応する医療従事者の求めるものを適切にくみ取り、最適な空間を作っていく必要があります。

 

美容外科クリニックのデザイン

美容外科クリニックの場合、受診する患者さんは自分を変えるため、より自分を高めるために来院することでしょう。

ここで院内のデザインが日常的なものであふれていたらどうでしょうか。

日々の自分をより感じてしまい、中にはコンプレックスを解消するために受診を決断した患者さんもいる中で、不安な思いをさせてしまうこともあるのではないでしょうか。

そのため、人気の美容外科クリニックのデザインは非日常で、洗練されたハイセンスなものが多くなっております。

目的をもっている人が来院してくれるよう、しっかりと院としてのコンセプトをもち、それを表現することが大事になります。

美容医療を診療内容に含まれているクリニック様は、患者様に対して「あなたを美しくする」という説得力を目に見える形で伝えることが良いでしょう。

術後の無用なトラブルを回避するため、患者様も気持ちよく施術を受けられるよう、病院と患者の間にギャップを作らないようにすることが重要です。

一般病棟のデザイン

床数の多い病院は、入院施設を併設しているところも多いでしょう。

そのようなクリニックの場合は、開放的で明るいデザインを取り入れることが一般的です。

入院生活が長い患者さんの場合ですと、日常生活ではない非日常の生活にストレスをためてしまうことが多くあります。

そんな患者さんのために施設は開放的であり、閉塞感のないできるだけいつもの日常に近い生活に近づけます。

中には長期間の入院を余儀なくされる患者さんもいるため、できるだけ院内と外界との隔たりを無くすようなデザインを心がけています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は診療科ごとのデザインについてお話しました。

現在は情報が手に入りやすく、自分の症状や雰囲気に合った病院を患者さんが選ぶ時代になっています。これまでは身体に変調が起こった場合はお医者さんの判断を仰ぎ、そけで診断をしてもらった結果から別の病院を紹介してもらったりといったことがありました。

そのため、少しでも患者さんのニーズをくみ取るべく、治療方針や治療内容、そして院の雰囲気を良くしたりと、様々なことを行っています。

デザインについていえば、その病院の特色や文化をわかりやすく表現し、そして対象となる患者さんやスタッフに気を配ることに最も注力しなければいけないものであります。

機能的な面から患者さんの心のケアまで、しっかりとカバーするためにもそれぞれの院ごとの特色やテーマをしっかりと把握し、その施設にかかわる全ての人が働きやすく、また、自分らしくいられることが最も大事なことと考えます。

 

歯科医院のデザインのデザインの重要性

皆さんは歯医者さんに対してどのようなイメージをお持ちですか?

きっと怖いところというイメージが大半を占めるのではないでしょうか。

歯医者さんのあの独特の薬品のにおい、歯を削る際のキーンとした音、お子様の泣き声など、様々な恐怖感を与えてしまう要素があります。

このように、実際の治療は痛くなくても環境によって怖いと感じ、それが結果として怖いところというイメージを大人になってからも持たれてしまうということが多々あります。

近年は歯科クリニックの数が増え飽和状態とも言われていますが、その中でもしっかりと患者さんを呼び込まないとクリニック経営も成り立たなくなってしまいます。

診療内容で差別化を図るクリニックは、無痛治療であったり丁寧な治療で患者さんを呼び込みます。

それ以外に患者さんに来てもらえるようできることはないでしょうか。

今回は患者さんが来院しやすいような歯科クリニックのデザインについてお話をします。

通いたくなる歯医者とはどんな歯医者?

上記でもご説明した通り、現在の歯科クリニックの数はコンビニよりも多いと言われており、その数は飽和状態と呼ばれて久しい状況になっています。

そんな中でしっかりと患者さんを呼び込むためには他院との差別化を図るために無痛治療丁寧な治療を行うクリニックが増えています。

しかし、それだけでいいのでしょうか?

確かに治療内容が改善されれば直接的な痛みもなく、ストレスも軽減されるでしょう。

ただ、通いたくなるかといわれると疑問が残ります。

今、一見歯医者さんに見えないようなデザインが増えているのはご存知ですか?

歯医者さんに限らず、昔の病院の施設はとてもシンプルな外観や内装でした。

そのイメージを持たれている方がつらい思いをして病院に行ったのに治療がさらに痛いなんてことになったらどうしても行きづらくなりますよね。

そこで各医院は見た目からこれまでの病院のイメージを一新し、つらい治療をする場ではなく、自分の身体を治してくれる癒しの場として提供することとなりました。

よりスタイリッシュに、よりオシャレに。または、お子様にとって楽しい場所として通いたくなるようなデザインが増えてきました。

例えば、まるでサロンのような内装で自分が特別な存在になったかのような歯科医院。

(「カリヨンデンタルクリニック」)

 

他には、お子様が楽しく遊べるキッズスペースを設けている歯科医院。

(「モンキッズデンタル」 葛西 子供専用歯科 プレイルーム)

このように、クリニックのイメージはこれまでと違って患者さんの不安を和らげる役割をデザインにも求められています。

院内をこれまで以上に使いやすく

これまで患者さんの立場になってデザインのお話をしましたが、病院を利用するのは患者さんだけではありません。

そこで働く医療従事者にとっても働きやすい環境でなくてはいけません。

院内で配慮するポイントをスペースごとにご紹介します。

受付・事務スペース

受付窓口は、患者さんと病院をつなぐ窓口です。

受付窓口から見える事務スペースが散らかっていたら、どんなにデザインが良くても丁寧な治療は期待できませんよね。

事務スペースはものが多く散らかりやすいため、収納スペースを多くとり、また、作業室や院長室、診察室の中心になることが多いため、そこまでの導線をストレートに移動できるよう設置します。

また、受付カウンターは、診察前後の患者さんの様子を把握できるよう、待合室に向けて見やすくオープンな配置にするのが主流になっています。

手術室スペース

通常の診療所や歯科医院には手術室を設けるケースは少なく、設置していても比較的コンパクトな広さが一般的になります。

また、他のスペースよりも清潔さに気を配らなければならないため、ユニット式の手術室を設置するのが一般的になりつつあります。

廊下・階段スペース

こちらはスタッフ、患者さんが利用するため、できるだけスペースを広く取りお互いに気を使い合わないようにする配慮が必要となります。

また、バリアフリーを基本としたプランニングで、どのような患者さんも受け入れられるような環境を整えることも重要となります。

親しみやすい外観を

クリニックは老若男女を問わず、様々な方が来ます。

そのため、公共性が高い建物であることから、外観は町並みに調和した親しみやすいデザインが好ましいです。

親しみやすさといっても、クリニックはいたるところにあり、オフィス街に位置するクリニックがパステル調の保育園のような外観だったらやはり浮いてしまい、新規の患者様も足を運びづらいですね。

そのため、その土地の街並みに調和することが重要になり、ライフスタイルに合った外観が望ましいです。

まとめ

いかがだったでしょうか。

クリニックのデザインは単にオシャレであればいいというわけではありません。

目的としては、その施設を利用する全ての方が気持ちよく使うことができるのは前提としてあり、これまで歯医者さんに対して良くないイメージを持っていた方の考えを180度変え、癒しの空間としての認識を持っていただくことが重要になります。

特にお子様の場合、幼少期の印象というのは大人になっても変わることはあまりないでしょう。

始めて行った歯医者さんが楽しい場所と認識していただければ歯医者嫌いな人も少なくなるでしょう。

そんなデザインのクリニックが増えてくれば、近い将来歯医者さんは美容室と同じく、きっと行きたくなる場所として認知されるかもしれませんね。

また、外観もその街に溶け込み、開かれた場所として来院していただけるような環境も大事であるため、そのような配慮も行うことが重要になります。